ATTIC WORKS

アルマイト処理の基礎と実践 | 株式会社アティックワークス アルマイト処理の基礎と実践 | 株式会社アティックワークス

2024.07.01 - Mon

アルマイト処理の基礎と実践

こんにちは。
岐阜市と各務原市の機械設計事務所、(株)アティックワークスの山本です。
今月よりアティックワークスから、日記や技術情報を定期的にお届けしていこうと思いますので宜しくお願い致します。
第一回目の本日は、機械設計の重要な工程の一つであるアルマイト処理について詳しく解説します。アルマイト処理はアルミニウムの表面処理として広く用いられ、その特性や用途は設計者にとって非常に有用です。以下では、アルマイト処理の基本から具体的な実践方法までをお伝えします。

■アルマイト処理とは?
アルマイト処理(陽極酸化処理とも呼ばれる)は、アルミニウムの表面に酸化皮膜を形成するプロセスです。この皮膜は耐食性、耐摩耗性を向上させるだけでなく、染色や絶縁性の付与も可能です。基本的な処理は以下の手順で行われます。
前処理:アルミニウムの表面を清浄にし、不要な酸化皮膜を除去します。
陽極酸化
:硫酸などの電解液中でアルミニウムを陽極にして電流を流し、酸化皮膜を生成します。
封孔処理
:生成した酸化皮膜の微細な孔を塞ぐことで、耐久性を向上させます。

■アルマイト処理のメリット
耐食性の向上
アルミニウムは元々耐食性が高い金属ですが、アルマイト処理を施すことでさらに耐食性が向上します。特に、海水や酸性環境においても優れた耐久性を発揮します。
耐摩耗性の向上
酸化皮膜は硬度が高く、摩耗に強い特性を持ちます。このため、機械部品の耐久性を向上させ、長寿命化を図ることができます。
電気絶縁性の付与
酸化皮膜は優れた絶縁体であり、電子部品の絶縁性を確保するために利用されます。これにより、安全性の高い製品設計が可能となります。

■アルマイト処理の実践
前処理の重要性
アルマイト処理の品質は前処理に大きく依存します。油脂や汚れが残っていると皮膜の均一性が損なわれるため、アルカリ洗浄や酸洗浄で徹底的に表面をクリーニングすることが重要です。
陽極酸化の条件設定
陽極酸化のプロセスでは、電解液の種類、電流密度、処理時間が品質に大きく影響します。一般的には硫酸を使用した電解液が多く、電流密度は1~2 A/dm²、処理時間は30~60分が標準的です。これらの条件は目的に応じて調整が必要です。
封孔処理の方法
封孔処理はアルマイト皮膜の耐久性を左右する重要な工程です。沸騰水やニッケルフルオロシリケートなどの封孔剤を使用して、皮膜の微細な孔を確実に塞ぎます。これにより、耐食性や耐摩耗性が一層向上します。

■アルマイト処理の応用例
自動車産業
自動車部品には高い耐久性が求められます。アルマイト処理された部品は、エンジン周りの耐熱・耐摩耗パーツや外装部品などに使用され、高性能を発揮します。
航空宇宙産業
軽量で高強度なアルミニウムは航空機の構造材として理想的です。アルマイト処理により、厳しい環境条件下でも信頼性の高いパフォーマンスを提供します。
電子機器産業
放熱性と絶縁性が求められる電子機器においても、アルマイト処理は重要です。ヒートシンクや筐体などに利用され、機器の性能向上に寄与します。

まとめ
今回はアルマイト処理についての情報をお届けしました。
今後も、専門的で実践的な情報をお届けしていきますので、お楽しみに。

機械設計事務所
株式会社アティックワークス 山本謙志

他のブログをみる